￥2,000（税込み）
横川 裕一 著 各 １月26日刊
日本陸軍の乙式一型偵察機（サルムソン2A2）は「陸軍は乙式でもつ」と言われたくらい、多くが飛んだ機体でした。昭和10年までの日本陸軍の最多生産機種（900機強）であり、どこにでもいる（逆に言えば、これしかいないに近い）ことに平凡な外観も加わってか人気がありません。乙式一型偵察機だけを取り上げた書籍も、筆者が知る限り邦書では皆無です。海外でも生産機数（約3200機）の割に人気はないようで、洋書でもモノグラフは少ないです。そんな乙式一型偵察機に筆者はどこか惹かれており、一冊の形で世に出してみたいと思っていました。
ご存知のことと思いますが、岐阜県内にはサルムソンの水平尾翼が遺されています。加茂郡富加町にある松井屋酒造場のものがそれです。痛みが激しい状態ですが、世界的にもたいへん貴重なものであり、世界で唯一の現存する水平尾翼です。これを文化財として修復して後世に伝えようという動きがあります。
本冊子はこの保存活動に協力すべく、そのサルムソンがどういった飛行機なのかを広く知っていただくことを目的に作成したものです。
序文
１. 乙式一型偵察機とは
■サルムソン社と2A2
■輸入機
■国内生産
■陸軍製の機体
■製造所と機体番号
■生産機数
■陸軍航空は乙式で持つ
■標記の変遷
■違法生産
■一機の単価
■長距離飛行
■飛行機の梱包
■派生型（軽爆撃機）
■配備部隊
■まとめ
２. 輸入機アルバム ･･･ 主に、当時の絵葉書から
３. 国産機写真帖
４. プロペラ概説
■概歴
■プロペラの位置づけ
■プロペラ諸元
■木製プロベラの作り方
■プロペラ各式
■プロベラ刃部包装
■プロペラの製造数推測
■その価格
■知り得た残存プロベラ一覧
５. クローズアップ写真帖 ･･ 操縦席（前席、後席）や機首のクローズアップ
６. 乙式一型偵察機と民間機
■民間における乙式一型偵察機
■民間登録から分かること
■民間機アルバム
付録１ 諸元 ･･･ 『飛行機工術教程（乙式一型偵察機）』、『発動機工術 巻三（サ式二三〇馬力発動機取扱法）』から
付録２ 図面 ･･･ 『飛行機工術教程附図（乙式一型偵察機）』から主要図面
付録３ 消息判明機リスト ･･･ 陸軍書類から廃兵器、『航空殉職録』等から死亡事故、官報から民間機登録が追えた機体のリスト
付録４ 残存関連部品リスト ･･･ 残っている乙式一型偵察機の関連部品
付録５ 残存プロペラリスト ･･･ 全国に残るプロペラのリスト
（出典：Amazon）